米軍が保有するUAV[ii]
通信衛星を含む通信技術の発達と航法技術の発達により、UAVは地球の裏側まで自律で飛行し、偵察や哨戒任務が行えるようになりました。
この任務用の最も有名なUAVのひとつが米空軍が保有しているRQ-4グローバルホークではないでしょうか。
グローバルホークは開発から改良を重ね、「ブロック40」が最新であり、日本が導入をしようとしたのは、そのひとつ前の「ブロック30」です。
航続距離22,000km以上、航続時間34時間以上と、遠距離の目標を長時間にわたって、各種光学センサや合成開口レーダを使用して偵察することが可能です。
また、米海軍ではグローバルホークの洋上監視型として改良したMQ-4Cトライトンとして運用しています。
さらに、ヘリコプタ型のUAVであるMQ-8ファイアスカウトを開発し、洋上の偵察やレーダ監視、ソナーを使用した対潜戦などを行っています。
米陸軍は米海兵隊と共同でRQ-5Aハンターを開発し、配備されました。その後、ハンターはベルギーやフランスも保有するようになりました。
その他各国が保有するUAV
欧州や中国、ロシア各国は、最初はUAVに懐疑的でしたが、イラク戦争、アフガニスタン紛争などの戦果を評価し、開発が行われるようになりました。
しかし、イスラエルはヘロンUAVを1994年には初飛行させ、海外市場で多く導入されています。
攻撃用UAV
攻撃用として最も有名なUAVはMQ-1プレデターではないでしょうか。
1994年に初飛行したプレデターは当初偵察任務用のRQ-1でしたが、その原型機はボスニア紛争で大きな成果を上げています。
その後、プレデターはレシプロエンジンを使用しているため静音性に優れており、低空を長時間飛行できるため、被探知性が高いものです。
そこで、ヘルファイアのようなレーザ誘導ミサイルやスティンガー対空ミサイルと言った攻撃兵器を搭載し、攻撃用UAVとして活躍しています。
2002年11月にプレデターから発射されたヘルファイアがアルカイダ指導者の車列を爆撃しています。
その後、プレデターの後継としてMQ-9リーパがアフガニスタンで運用が開始されています。
エンジンがレシプロからターボファンに変わり、速度が大幅に向上し、アフガニスタンやイラク戦域で運用され、大きな成果を上げています。
また、リーパはハンターキラーという別名を持っているほどです。
標的用UAV
ドローンという言葉は、軍では模擬空対空戦闘に使用する標的機のことを言っていました。
標的機は、有人航空機から曳航されるものや、無線操縦で操縦されるものでしたが、自律して飛行を行う無人標的機が運用されるようになっています。
近年のUAVの発展からは取り残された感がありますが、これも立派なUAVと言えるでしょう。
UAVの将来[iii]
UAVの将来に関するキーワードのひとつがステルス性能でしょう。グローバルホークは亜音速、非ステルス性のために、仮想敵国の奥深くまで侵入できません。
ステルス性能と超音速での飛行を可能にしたRQ-180が開発され、既に米空軍にて運用試験、評価試験が行われているようです。
また、米海軍ではステルス性能を有するX47Bが開発されています。両者ともにB-2爆撃機のような無尾翼全翼機の形状をしています。
さらに、将来的にはAI技術を適用して、有人戦闘機に複数の無人戦闘機を随伴させ、敵航空戦力に対応する日が来るでしょう。
おわりに
UAVの現状と将来について紹介しました。
本記事では主に米国のUAVについて紹介しましたが、我が国の防衛装備庁では「将来無人装備に関する研究開発ビジョン~無人航空機を中心に~」を平成28年に発表しており[iv]、無人航空機の技術開発の基本的な考え方や、さまざまな無人航空機研究のロードマップが示されていますので、参考にしてください。
参考文献
[i] 時事ドットコムニュースより、https://www.jiji.com/jc/article?k=2020081300689&g=pol
[ii] マーティン J ドアティ著、角敦子訳、「世界の無人航空機図鑑」、原書房 2016年
[iii] 松尾芳郎、TOKYO EXPRESS、http://tokyoexpress.info/2019/11/11/米空軍、極秘の大型無人偵察機rq-180-の一部を公表/
[iv] 防衛装備庁ホームページより、https://www.mod.go.jp/atla/soubiseisaku/plan/vision/future_vision.pdf
なお、軍用では無人航空機のことをUAV(Unmanned Aerial Vehicle)と呼ばれることが多く、以下、本記事でもUAVを使用します。
偵察・哨戒任務用UAV
米軍が保有するUAV[ii]
通信衛星を含む通信技術の発達と航法技術の発達により、UAVは地球の裏側まで自律で飛行し、偵察や哨戒任務が行えるようになりました。
この任務用の最も有名なUAVのひとつが米空軍が保有しているRQ-4グローバルホークではないでしょうか。
グローバルホークは開発から改良を重ね、「ブロック40」が最新であり、日本が導入をしようとしたのは、そのひとつ前の「ブロック30」です。
航続距離22,000km以上、航続時間34時間以上と、遠距離の目標を長時間にわたって、各種光学センサや合成開口レーダを使用して偵察することが可能です。
また、米海軍ではグローバルホークの洋上監視型として改良したMQ-4Cトライトンとして運用しています。
さらに、ヘリコプタ型のUAVであるMQ-8ファイアスカウトを開発し、洋上の偵察やレーダ監視、ソナーを使用した対潜戦などを行っています。
米陸軍は米海兵隊と共同でRQ-5Aハンターを開発し、配備されました。その後、ハンターはベルギーやフランスも保有するようになりました。
その他各国が保有するUAV
欧州や中国、ロシア各国は、最初はUAVに懐疑的でしたが、イラク戦争、アフガニスタン紛争などの戦果を評価し、開発が行われるようになりました。
しかし、イスラエルはヘロンUAVを1994年には初飛行させ、海外市場で多く導入されています。
攻撃用UAV
攻撃用として最も有名なUAVはMQ-1プレデターではないでしょうか。
1994年に初飛行したプレデターは当初偵察任務用のRQ-1でしたが、その原型機はボスニア紛争で大きな成果を上げています。
その後、プレデターはレシプロエンジンを使用しているため静音性に優れており、低空を長時間飛行できるため、被探知性が高いものです。
そこで、ヘルファイアのようなレーザ誘導ミサイルやスティンガー対空ミサイルと言った攻撃兵器を搭載し、攻撃用UAVとして活躍しています。
2002年11月にプレデターから発射されたヘルファイアがアルカイダ指導者の車列を爆撃しています。
その後、プレデターの後継としてMQ-9リーパがアフガニスタンで運用が開始されています。
エンジンがレシプロからターボファンに変わり、速度が大幅に向上し、アフガニスタンやイラク戦域で運用され、大きな成果を上げています。
また、リーパはハンターキラーという別名を持っているほどです。
標的用UAV
ドローンという言葉は、軍では模擬空対空戦闘に使用する標的機のことを言っていました。
標的機は、有人航空機から曳航されるものや、無線操縦で操縦されるものでしたが、自律して飛行を行う無人標的機が運用されるようになっています。
近年のUAVの発展からは取り残された感がありますが、これも立派なUAVと言えるでしょう。
UAVの将来[iii]
UAVの将来に関するキーワードのひとつがステルス性能でしょう。グローバルホークは亜音速、非ステルス性のために、仮想敵国の奥深くまで侵入できません。
ステルス性能と超音速での飛行を可能にしたRQ-180が開発され、既に米空軍にて運用試験、評価試験が行われているようです。
また、米海軍ではステルス性能を有するX47Bが開発されています。両者ともにB-2爆撃機のような無尾翼全翼機の形状をしています。
さらに、将来的にはAI技術を適用して、有人戦闘機に複数の無人戦闘機を随伴させ、敵航空戦力に対応する日が来るでしょう。
おわりに
UAVの現状と将来について紹介しました。
本記事では主に米国のUAVについて紹介しましたが、我が国の防衛装備庁では「将来無人装備に関する研究開発ビジョン~無人航空機を中心に~」を平成28年に発表しており[iv]、無人航空機の技術開発の基本的な考え方や、さまざまな無人航空機研究のロードマップが示されていますので、参考にしてください。
参考文献
[i] 時事ドットコムニュースより、https://www.jiji.com/jc/article?k=2020081300689&g=pol
[ii] マーティン J ドアティ著、角敦子訳、「世界の無人航空機図鑑」、原書房 2016年
[iii] 松尾芳郎、TOKYO EXPRESS、http://tokyoexpress.info/2019/11/11/米空軍、極秘の大型無人偵察機rq-180-の一部を公表/
[iv] 防衛装備庁ホームページより、https://www.mod.go.jp/atla/soubiseisaku/plan/vision/future_vision.pdf
2020年8月14日に、2021年度に配備を計画しているグローバルホークの調達中止を視野に検討に入ったと報道がありました[i]。
これは米空軍が日本が調達予定であったグローバルホーク「ブロック30」を近く退役させることに関連し、最新のステルス型無人航空機RQ180が開発に成功したものと考えられています。
軍用無人航空機は偵察・哨戒任務を中心に発達してきましたが、今後はAI技術やステルス技術を適用し、より幅広い任務に活用していくものと考えられます。
本記事では、軍用無人航空機の現状と将来について紹介します。
なお、軍用では無人航空機のことをUAV(Unmanned Aerial Vehicle)と呼ばれることが多く、以下、本記事でもUAVを使用します。
偵察・哨戒任務用UAV
米軍が保有するUAV[ii]
通信衛星を含む通信技術の発達と航法技術の発達により、UAVは地球の裏側まで自律で飛行し、偵察や哨戒任務が行えるようになりました。
この任務用の最も有名なUAVのひとつが米空軍が保有しているRQ-4グローバルホークではないでしょうか。
グローバルホークは開発から改良を重ね、「ブロック40」が最新であり、日本が導入をしようとしたのは、そのひとつ前の「ブロック30」です。
航続距離22,000km以上、航続時間34時間以上と、遠距離の目標を長時間にわたって、各種光学センサや合成開口レーダを使用して偵察することが可能です。
また、米海軍ではグローバルホークの洋上監視型として改良したMQ-4Cトライトンとして運用しています。
さらに、ヘリコプタ型のUAVであるMQ-8ファイアスカウトを開発し、洋上の偵察やレーダ監視、ソナーを使用した対潜戦などを行っています。
米陸軍は米海兵隊と共同でRQ-5Aハンターを開発し、配備されました。その後、ハンターはベルギーやフランスも保有するようになりました。
その他各国が保有するUAV
欧州や中国、ロシア各国は、最初はUAVに懐疑的でしたが、イラク戦争、アフガニスタン紛争などの戦果を評価し、開発が行われるようになりました。
しかし、イスラエルはヘロンUAVを1994年には初飛行させ、海外市場で多く導入されています。
攻撃用UAV
攻撃用として最も有名なUAVはMQ-1プレデターではないでしょうか。
1994年に初飛行したプレデターは当初偵察任務用のRQ-1でしたが、その原型機はボスニア紛争で大きな成果を上げています。
その後、プレデターはレシプロエンジンを使用しているため静音性に優れており、低空を長時間飛行できるため、被探知性が高いものです。
そこで、ヘルファイアのようなレーザ誘導ミサイルやスティンガー対空ミサイルと言った攻撃兵器を搭載し、攻撃用UAVとして活躍しています。
2002年11月にプレデターから発射されたヘルファイアがアルカイダ指導者の車列を爆撃しています。
その後、プレデターの後継としてMQ-9リーパがアフガニスタンで運用が開始されています。
エンジンがレシプロからターボファンに変わり、速度が大幅に向上し、アフガニスタンやイラク戦域で運用され、大きな成果を上げています。
また、リーパはハンターキラーという別名を持っているほどです。
標的用UAV
ドローンという言葉は、軍では模擬空対空戦闘に使用する標的機のことを言っていました。
標的機は、有人航空機から曳航されるものや、無線操縦で操縦されるものでしたが、自律して飛行を行う無人標的機が運用されるようになっています。
近年のUAVの発展からは取り残された感がありますが、これも立派なUAVと言えるでしょう。
UAVの将来[iii]
UAVの将来に関するキーワードのひとつがステルス性能でしょう。グローバルホークは亜音速、非ステルス性のために、仮想敵国の奥深くまで侵入できません。
ステルス性能と超音速での飛行を可能にしたRQ-180が開発され、既に米空軍にて運用試験、評価試験が行われているようです。
また、米海軍ではステルス性能を有するX47Bが開発されています。両者ともにB-2爆撃機のような無尾翼全翼機の形状をしています。
さらに、将来的にはAI技術を適用して、有人戦闘機に複数の無人戦闘機を随伴させ、敵航空戦力に対応する日が来るでしょう。
おわりに
UAVの現状と将来について紹介しました。
本記事では主に米国のUAVについて紹介しましたが、我が国の防衛装備庁では「将来無人装備に関する研究開発ビジョン~無人航空機を中心に~」を平成28年に発表しており[iv]、無人航空機の技術開発の基本的な考え方や、さまざまな無人航空機研究のロードマップが示されていますので、参考にしてください。
参考文献
[i] 時事ドットコムニュースより、https://www.jiji.com/jc/article?k=2020081300689&g=pol
[ii] マーティン J ドアティ著、角敦子訳、「世界の無人航空機図鑑」、原書房 2016年
[iii] 松尾芳郎、TOKYO EXPRESS、http://tokyoexpress.info/2019/11/11/米空軍、極秘の大型無人偵察機rq-180-の一部を公表/
[iv] 防衛装備庁ホームページより、https://www.mod.go.jp/atla/soubiseisaku/plan/vision/future_vision.pdf